三、序盤戦のスピ―ドが大切

さあ、いよいよ実行の時がやってきました。前段階でのたくさんの人たちからのアドバ
イスをたっぷりもらって、あなたの事業計画もかなりのものになってきました。あなたも
矢も盾もたまらないような、胸がむずむずするようなそんな気持ちでしょう。
実戦が始まるわけです。これからは理屈だけの世界でありません。その中であなたは、
勝ち残らなければならないのです。その必勝法、必ず勝てるわけではありませんが勝った
人は全員こうしたというような言わば必要条件となっているのが「スピ―ド」です。誰よ
りも早く市場に商品なりサ―ビスなりを提供し、顧客を獲得しなければなりません。その
成否を決めるのは、あなたの側のスピ―ドです。
新製品の開発サイクルが三ケ月と言われ、まるで生鮮品のようだといわれるパソコンの
世界で最近大きく業績を伸ばしているのがデル・コンピュ―タです。テキサスの大学生が
始めた組み立てパソコンのビジネスが今や世界のパソコンメ―カ―の一つになったのです
が、そこでは顧客への直販をてこに製品在庫を持たず、注文生産でありながらどこよりも
早く商品を顧客のもとへ届けることがビジネス上の強みとなっています。考えてみればパ
ソコンのビジネスは基礎技術となるCPUの新製品への更新が速く、その更新に合わせて
世界中でいろいろな部品や周辺機器が開発されます。その中でもっとも優れた部品を選び、
調達し、パソコンを作って販売するのがパソコンメ―カ―の仕事ですが、製品が顧客から
気に入られなければあっという間に在庫の山を抱えることになり、そうこうしているうち
に次の新製品が市場に出てきて、だぶついた在庫は二束三文で叩き売るしか仕方のないも
のになってしまいます。特にメ―カ―、卸、小売店と流通経路が長いほど、顧客の反応が
メ―カ―にわかりにくく、大量の在庫を抱える危険性が高くなります。デル・コンピュ―
タでは販売は顧客への直販ですので、顧客の反応はすぐわかります。また、製品の作りお
きはせずに注文をうけてから組み立てますので、ほとんど製品在庫を持たなくてすむよう
になっています。
これは直販にこだわり、顧客の反応が悪ければすぐに次のモデルに切り替え、次々と製
品の改良をしてゆく、その体質に強さの根っこがあるようにおもいます。もともと後発メ
―カ―で規模が小さい故に大きなリスクを負うことなく、敏捷にビジネスを展開してきた
ことが今や逆に強さになっているとも言えます。
ここでは走りながら考えることが鉄則となっているのです。この話は何もパソコンの製
造に限ったことではありません。顧客を重視し、その反応をいち早く経営に取り入れる。
新しい試みを次々と取り入れ、良いものは残し、悪ければすぐに止める。こんなことをい
とも平気にやり続ける。こんなしたたかさが大切なのです。



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