第四章 「イエス」と言われる目標

一、ひらめきを大切に

“ひらめき”とは何だろうか。動物的勘が鋭い、ということも一つの条件のように思われ
る。しかし、それだけではなさそうである。
知識、経験、体験、情報等をゴチャゴチャに混ぜ合わせて抽出した時に、ふいと出てく
る考え方のような気がしてならない。過去の知識・体験・経験からだけ得られるものでも
なく、様々な情報の分析から導き出されるものでもなさそうである。
その人なりの哲学や思想のベ―スがあり、その中に知識、体験、経験、情報等の素材を
投入して、頭の中のミキサ―をグルグルとかき回した時に、多層なフィルタ―を通して抽
出されるエッセンスのようなものではないかと想像したくなる。
だからこそ、“ひらめき”は、天の啓示やインスピレ―ションのような様相として私達
を支配してしまうのであろう。単なる素材の寄せ集めによる量的変化ではなく、まさに質
的変化を伴った概念として私達に問題提起してくるように思われる。
巨人の長嶋監督の“ヒラメキ野球”はこの典型なのかもしれない。だからこそ、選手に
も私達にも時々理解不能な采配と映るのであろう。一方、仰木マジックも野村ID野球も、
ひらめきよりもむしろ確率やデ―タを重視したもののようである。どちらが正しいのかど
うかは誰も判断できない。全ては結果が証明するのである。長嶋監督が確率やデ―タを全
く無視しているとは思えないし、仰木監督や野村監督がひらめきを全否定しているとも思
えない。要は、重大な極面における意思決定でのウェイトの置き方の違いであろう。
ビジネスの世界においても同様のことが言える。単なる勘や経験に基づく“ヒラメキ”
のように思われても素晴らしい“勘ピュ―タ”を有する人間も存在する。それはコンピュ
―タによる情報分析に優るとも劣らない人間の機能でもある。考える、決断する、責任を
とる、というビジネスの重要な要素をコンピュ―タに代行させることはできない。
だからこそ、常に目標を定め。現状を把握して、問題意識を持つ必要がある。こうした
基本的スタンスを持つ事によって、はじめて“勘ピュ―タ”が活性化し、本質的な、“ヒ
ラメキ”がアウトプットされる。そしてこのヒラメキこそが、問題解決(=仕事)のため
の重要なヒントとなる。
ひらめきを大切に、という提案は、説得力ある企画立案の構想段階でのキ―ワ―ドであ
る。過去の知識や経験・体験や情報を頭の中でミキシングし、粉々にして新たなフィルタ
―を通して質的変化を得ようとする創造的かつ極めて人間的な思考作業様式であろう。
コンピュ―タを否定する態度でもない。ビジネスが人間関係の所産であるならば、知識
や経験・体験や情報等を極めて人間的な思考様式の中で新しく再生させる必要があるとい
う事だ。ひらめきを大切にしたい。



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