三、ゲ―ムの流れを読む

ラグビ―の全日本監督である平尾選手が日本のラグビ―の弱点について語っていた。
日本のラクビ―に最も欠落しているものは何か、という問いに対し、彼は明確に答えて
いた。「それは、イマジネ―ションだ」。
私は、基礎体力ではないかと思っていたのだが、国際的なラグビ―の世界での比較では
体力ではなく、“イマジネ―ション”のレベルの差ということになるのであろう。
イマジネ―ションとは想像力の事であるが、本質的には、ゲ―ムの流れを読む力のこと
であろう。一つ一つのプレイの意味を考えて、次の行動に移って行くという判断力、チ―
ムの一員としてゲ―ムを作って行くメンバ―シップの確立の必要性を説いているのだと解
釈したい。
教えられた事、指示された事を着実にこなすこともチ―ムプレイとしては大切な任務で
あろう。しかし、それぞれの極面において各メンバ―が目的・目標を共有した上で、状況
に応じて変化対応力を発揮するのであれば、それは高度な組織力を持つチ―ムに違いない。
起業家や経営者を志向する者は、やはり、物事の先行きが見える眼を持つ必要がある。
変化対応力を身につけなければ、組織を引っぱって行けないし、リ―ダ―シップも発揮で
きない。
“ドッグ・イヤ―”という言葉が情報通信業界では常識となっている。犬は、人間の七倍
の速さで“犬生”を全うするという。今後一年間の経営環境の変化の激しさは過去の七年
間に匹敵するのではなかろうか。N・Yのウォ―ル街でも“大が小を飲む”時代から“変
化対応力に秀れた企業が行動力がノロい企業を吸収する”時代に突入したという認識に変
化しているという。
ラグビ―の平尾監督が指摘する“イマジネ―ション”とはまさに、この変化対応力の意
味であろう。過去の実績や成功体験の延長線に起業や経営のビジョンを描く時代ではない。
世の中の動きや流れを読み取り、新たな視点から事業領域を再構築しなければならないと
思う。
ただ、本質的なもの、不変なものと枝葉末節とは明確に区分しなければならない。松尾
芭蕉の言葉を借りれば、“不易流行”の見極めが大切だということであろう。自分自身の
中において、易わらないもの、易えてはならないものは何か、そして世の中の流れと共に
変えなければいけないものは何か、このバランス感覚を保持することが大切になってくる。
しかし、芸術の世界とは異なり、ビジネスの世界では、プロダクト・アウトの発想から
マ―ケット・インの発想へと大きく変化している。作れば売れる時代は終った。お客様や
市場が何を求めているのかという考えに沿って、商品・技術開発を進めていかねばならな
いと思う。起業を志す者は、現場に立ち、常に市場の流れを読む必要がある。



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